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COLUMN

住宅業界の明日はどっちだ?!第1回【日経ホームビルダー編集長に訊く】(前編)

SUMAInoSEKKEI PLUS第2編集部 ]

第1回【日経ホームビルダー編集長に訊く】(前編)
新築着工数の激減、デフレ、空き家率の増加。現在、難しい局面にある住宅産業に、明るい未来はあるのか?先の読めない住宅業界の明日を識者に訊く。
第1回目の本記事では、建設事業者向けの専門誌「日経ホームビルダー」編集長の安達功さんに尋ねてみた。日経ホームビルダーを始め、日経アーキテクチュア、日経コンストラクションなど建設業界誌を数多く手がけてきた安達さんの考える、業界の明日はどっちだ?!
 
非常にざっくりとした質問ですが、まずは、現在の住宅業界は、どういった状態なのでしょうか?
 
安達:非常に大きな転換点にあります。パラダイムシフトが起こっているといえるでしょう。
 
具体的には?
 
安達:人口が減り始めたことが、ことの引き金です。基本的な考え方として、人口が増え続けていれば、当たり前のこととして住宅の必要が増えるので、「持っていると価値が上がる」という状態を期待できます。
戦後から2005年までは、これでよかった。しかし、今後の人口減少は、不動産を持っていると価値が下がるという現象を起こしてしまいます。
住宅が投資として割に合わないものになってしまう訳です。現在の産業構造は、早々に立ちゆかなくなります。
 
2005年から5年たっていますが、実際、この5年間で人口はどのくらい減っているのでしょうか?
 
安達今はピークを過ぎて下降線をたどりはじめたところなので、減少率では目立って現れていません。しかし、減り始めると一気に下降線をたどるのは目に見えています。近い将来の推計人口は、2050年で1億を切ると言われています。
あまりに規模の大きな転換点であるが故に、皆、実感できないでいるというのが実際のところでしょう。しかし、変化が健在化してから、対策しても遅いのも現実です。
 
住宅産業の事業者は、理解していないのですか?
 
安達:理屈ではわかっているのだと思います。新築着工数の減少などを経験しているはずですし、「住宅に求められる価値が変化している」と感じているようでもあります。しかし、私も同様なのですが、口では言っていても、危機を感じるところまでの実感が追いついていないという状態なのでしょう。
 
(図版)日経ホームビルダー2010年3月号
 
 
住宅着工数の大きな減少を受けて、業界が目覚め、大騒ぎを始めた、という訳でもないのですか?
 
安達:2000年頃まで、120万戸前後で増減していた住宅着工数が、2009年に80万戸まで激減したことを問題視する人はいるでしょう。しかし、これは表面的な物量の話で、もっと大きな構造的なパラダイムシフトの方が重大です。これを正しく意識している人は、ほとんどいないのではないでしょうか?
 
そのパラダイムシフトとは、具体的にどのような変化なのでしょうか?
 
安達:私自身も、今は曖昧に「感じている」段階なので、正確に答えるのは難しいのですが、ひとつは、「住宅の性能が問われる時代になりつつあるといえます」。
これまでは、人口にあわせて住宅および土地の必要が増加する一方だったので、住宅の性能を度外視しても土地があれば、その価値によって、最終的には投資の元をとれる可能性があった訳です。しかし今後は、土地の価値も減少します。住宅の性能が悪いと、投資として割の合わない産業分野に成り下がってしまうわけです。
 
消費者側も安易な着工は割に合わないと、知っておくべきですね。
 
安達:性能に対する消費者の目も厳しくなっていくでしょう。
 
住宅の性能が重要になるというお話はごもっともだと思いますが、では住宅の性能とは、なにをもって判断できるのでしょうか?
現状、住宅の価値を判断する基準は、不動産価値と満足度の他に存在しないように思います。このうち、満足度の方は非常に恣意的な判断基準ですし、耐久性や機能といった住宅性能もこの満足度の内に含まれているような気がします。結局、個人的な満足度を追求するということでしょうか?
 
安達:いや、やはり不動産価値の方が重要であると思います。
 
しかし、土地の不動産価値が減少の一途をたどるのだとしたら、展望は暗いですよね。住宅の性能向上に努めたとしても、現状、中古住宅市場は正しく機能していない状態です。
 
安達:中古住宅市場は今後、必然的に成立します。
 
その根拠はなんですか?
今後、間違いなく必要とされることは想像できますが、住宅の性能を正当に評価する基準自体が今は存在していないように感じています。
 
安達:確かに今は、中古住宅市場が正しく機能しているとはいえない状態です。しかし、具体的な取り組みも少なからず始まっています。
たとえば金融の世界では、着工住宅の性能に応じて金利を減らす方法などが試みられています。住宅金融支援機構のフラット35でも、省エネルギー性、耐震などの要件を満たす住宅に対しては金利を優遇しています。
不動産の業界においても、昨年あたりから、次世代省エネ基準をクリアしていたり、長期優良住宅の認定を受けている住宅の不動産価値を高く見る傾向が現れています。
まだ、始まったばかりなので、大きな変化には見えないかもしれません。しかし、こうした動きが複数重なって、市場に変化をもたらすのは確実だと考えています。2009年が、市場形成の元年といえるかもしれません。
 
住宅価値の判定基準に対して、国や業界が取り組み始めたことは、確かなのだと思います。しかし、現実問題として、こうした基準が実際に機能して、近い将来、中古住宅市場が本当に成立するのでしょうか?
不動産業界が、土地以外の住宅本体を正しく評価するのは、業務負担の増加になります。まして、専門知識の無い不動産事業者が住宅を正しく評価できるのでしょうか?
望みが薄いように今は感じるのですが・・・。
 
安達:私はうまく機能すると思っています。
 
その根拠は?
 
安達:不動産業界も土地価格が減少し、取引の絶対量が減ると困るからです。そうすると、必然的に新たな取引材料が必要になります。これまで通り、土地の価格だけを見て、古い住宅の価値を一律で¥0にしてしまうと、業界全体が袋小路に追いこまれるのです。どうしても、住宅価値を判断した取引に取り組まざるを得ないでしょう。評価する人材や方法、基準については、また別の問題であると考えます。
今後、住宅を購入する消費者も、土地神話が崩れて久しい世相の中で投資する訳ですから、住宅の価値についてよく吟味するようになってゆくのではないでしょうか。
 
なるほど、では、実際に変化を体感できるのは、いつごろになるとお考えですか?
 
安達: 10年後には、ずいぶん変わっているのではないかと思います。変わり始めは遅いですが、動き始めると変化は早いものです。業界の人間は変化が起こってから気がついても、時すでに遅し。取り残される可能性があります。
そういう意味で、今は非常に重要な転換点だと思います。
 
今が重要な転換点だということはわかりました。しかし、住宅産業の従事者が「今が転換点にある」ということに気づいても、実際のところは、どう対策したらよいのでしょう?
皆、そこで途方にくれているように思います。
 
安達:一般論に聞こえるかもしれませんが、単純には、メンテナンスへの配慮や耐久性、投資にたいする回収率など、建てた後のことを重要視する姿勢が、問われる時代になると思います。
 
デザインはどういったものが求められるのでしょう?
 
安達:流行に敏感なデザインは、不動産価値としては評価しづらいといえます。だれでも受け入れられる普遍的なデザインが良いのではないでしょうか?
 
個性的なデザインはプラスにならない?
 
安達:奇をてらったデザインや、独創的な意匠は、顧客満足度でしか計れません。顧客満足度を優先する限りは、個性的なデザインを推し進めるのもかまわないと思います。しかし、今後整備されてゆくであろう住宅の不動産価値から判断すると、大きなマイナス要因であるといえます。
 
着工時の顧客は満足していても、10年後の住まい手が同じように満足しているとは限らない、ということですね。
しかし、そうすると、個性的なデザインを付加価値として提供しようとする事業者は、どんどん小さくなっていくパイを互いに奪い合う未来しかないように感じるのですが・・・。
 
安達:今のままだと、それが現実だと思います。
 
 
 

|  2010/07/22 21:43:04   |  閲覧:188  |  コメント:1  |

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  • sbvievwwebhさん

    2010/08/30 09:47:05

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